2023/09/30

伊東に行くなら『ハトヤ』

こんにちはTARASUKIN BONKERSです。

『伊東に行くならハ・ト・ヤ』

伊豆半島で暮らし始めて、すでにだいぶ経つのだけれど、行ったことがなかった。

この日、伊東を散歩してみましょうということで、海辺の国道135号線沿いにある『道の駅 伊東マリンタウン』に車を停めて、『ハトヤ』まで歩いてゆきました。

ちなみに『ハトヤ』はふたつあって、海辺にあるのは『サンハトヤ』。この日、向かったのは山側にある『ハトヤ』のほうです。

伊東の、昭和の香りが漂う町並みを抜けて、およそ3キロメートルほど。
ファミリーマートの脇にある小さな路地(どう見てもこの先に大型ホテルがあるとは思えない)を山に向かって上ってゆくと、広大な傾斜地に聳え立つ『ハトヤ』が現れます。(その手前には、同じく広大な傾斜地に『ホテルじゅらく』が聳え立っている)
まず目に入るのは、この『渡り廊下』。

敷地全体が傾斜地となっていて、坂道のアプローチは立体的で複雑に見えます。

『渡り廊下』の下をくぐるように、急坂のロータリーをぐるりと回ると、下からは見えなかったホテルのエントランスが坂の頂きに広がるという造りです。

ロータリーの中心部分には、傾斜の高低差を利用したガレージが洞穴のようにくり抜かれており、そこに赤い消防車(古の『ハトヤ』コマーシャルにも登場する『ハトヤ消防隊』)がひっそりと駐機していました。
そしてここがエントランス。

こだわりのある意匠と、抜かりなく複雑な造形となっている独特の建築美に、思わず、奥へ奥へと足が進んでしまう。

「こんにちは。『ハトヤ』グッズなど売っている売店にお邪魔することは出来ますか?」

フロントの方にそう聞いてみると、快く館内へいざなってくれました。
やや派手なのだが。すごい・・・。

建物の中は、昭和的『ハレ』の空間となっていた。

まんべんなく敷き詰められたロビーの絨毯や、空間を彩るシャンデリア。煌びやかに鏡を張り巡らした壁面。

『ハトヤ』が創業した1960年代の、『観光旅行(今でいうリゾート)』を盛り上げるための贅沢な仕掛け(意匠)が、そこかしこに溢れていました。
そしてこの『渡り廊下』。

アーモンド形の宇宙的な窓が連なり、腰高まで張り巡らされたのはストライプ柄のカーペット、そして配光の美しい照明、カマボコ型の廊下断面にフィットするように造作されたバタフライ式の鉄扉。

その意匠の一つ一つに、建築に込められた熱意を感じ取ることができるはずです。

『ハトヤ』は観光ホテルなので、あくまでエンターテイメントを目指した建築ですが、この”熱意”を今の多くの建築に感じ取ることは出来ません。
そして『ハトヤ』グッズを買った。
伊東の『ハトヤ』。

古き良き。活気に溢れた。
紅いネオンが、そんな時代の明かりに見えました。